第6回NUFS & NUAS 読書コメント大賞(2022)結果発表

今年度は142点のコメントの応募がありました。応募いただいた皆さま、ご参加ありがとうございました。
また、「一般(いいね!)投票」にご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
各賞の受賞者は下記の通りです。おめでとうございます!

  • 大賞     無糖 さん(外大 世界教養学科)
  • 最優秀賞   mtmt さん(外大 英米語学科)
  • 図書館特別賞 指人形 さん(外大 フランス語学科)
  • 出版会賞   きんぶつ さん(外大 英米語学科)
  • 優秀賞    井谷 さん(外大 世界教養学科)
           しがない言語学徒Rin さん(外大 英米語学科)
           だみ さん(外大 世界共生学科)
           もか さん(学芸大 映像メディア学科)
           やきとりンゴ さん(外大 国際教養学科)
  • いいね!賞  いも さん(学芸大 映像メディア学科)

    中央図書館2階および看護図書室にて受賞したコメントの図書を展示(期間:2022.12-2023.4)しています。

    第6回NUFS&NUAS読書コメント⼤賞に寄せて / 名古屋外国語⼤学⻑・出版会⻑ ⻲⼭郁夫

    皆さん、おめでとうございます。
    今回は(1次審査通過の)19点のコメントが受賞の対象となりましたが、⽉並みな⾔い⽅をすれば甲⼄つけがたい。
    ⼤賞だから凄いとか優秀賞だから受賞作の中で劣っていることは全くなく、選者のその時々の問題意識や関⼼と上⼿くフィットした作品が受賞となりました。
    受賞作は夫々に⾯⽩いテーマでした。
    『とんでもない死に⽅の科学: もし●●したら、あなたはこう死ぬ』のコメントがとても映像的な⽂章と思ったら、何と映像メディア学科の学⽣のコメントでした。
    ⼤学での学びが、コメントの中にもくっきりと浮き彫りにされていてとても⼼強く感じました。
    コメントの最後「逃れられないシリアスな⼈⽣にせめてものユーモアを。死臭に慣れたフリして⽣きるより、よほどいい。」は本当に優れたコピーです。
    才能を感じました。
    『正欲』をコメントした著者は多様性、ダイバーシティの問題に対して鋭い問題意識を投げかけています。
    多様性の重視というと、全てが許されてしまうところがあるのですが、そこに注⽬した視点の鋭さが印象的でした。
    コメントにある「美化された「多様性」という⾔葉がもつ恐ろしさを、現実味のある内容と、著者の圧倒的な想像⼒が余すことなく暴いていく。」がとても適格です。
    「⾔葉の槍は、あなたの⼼に深く突き刺さるだろう。私に刺さった槍は、まだ抜けていない。」このコメント締めと
    冒頭「物語は⽉に似ていると思う。」は後で展開されていく良いコメントだと思いました。
    今回の受賞作のレベルは際⽴って⾼く、本学で教育に携わる者の⼀⼈として、⼤きな誇りを感じることができました。
    それくらい、素晴らしかったということです。
    これからますますコメント⼤賞が発展していくといいなと⼼から念じております。
    もし来年、⼤賞を狙いたいと思う学⽣は、書き出しと締めに細⼼の注意を払いましょう。

    東アジアが読む⽇本ミステリー:第6回NUFS&NUAS読書コメント⼤賞に寄せて / 図書館⻑ 藤井省三

    12年前に南京⼤学で、魯迅(ルーシュン、ろじん、1881-1936)の代表作「阿Q正伝」と夏⽬漱⽯・村上春樹との系譜的関係について講演したことがあります。
    講演後には学⽣さんたちが、⽇中⽐較⽂学をめぐる多くの質問を出して下さいました。その中に推理⼩説家のDongye Guiwuに関するものがありました。
    “Dongye是誰︖”と聞き返す私に、“東野圭吾”と書かれた紙が回ってきまして、私は初めてこの作家の存在を知ったのでした。
    帰国後、⼤急ぎで『⼿紙』や『⽩夜⾏』などの東野作品を読んだものです。
    魯迅の影響を受けて(正確には魯迅に反発して)推理⼩説作家となった松本清張(1909-92)は、⽇本ばかりでなく、東アジアの推理⼩説の開祖です。
    このような⽇本ミステリーと東アジアとのご縁は、現在に⾄るまで深まり広がり続けています。
    今年のコメント⼤賞ではmtmtさんが湊かなえ『夜⾏観覧⾞』で受賞しました。
    ⽇本の家庭問題に取材した推理⼩説が、中国⼤陸や⾹港、台湾、そして韓国でどのように読まれているのか、という想像をめぐらしながら⾴をめくるのも⼀興でしょう。
    ちなみに「湊かなえ」は中国や台湾では“湊佳苗”と漢字表記されて、すでに20作ほどが翻訳されています。

    (2023.1.19更新)